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JCUテクニカルレポート バックナンバー一覧

Siオリゴマーを用いた表面処理への応用例

総合研究所
基幹技術開発部 基幹技術開発課
佐土原 大祐  Daisuke SADOHARA / 西川 賢一  Kenichi NISHIKAWA / 泉谷 美代子  Miyoko IZUMITANI / 鈴木 啓太  Keita SUZUKI

新規事業本部
コーティング&太陽光発電営業部
下田 勝己  Katsumi SHIMODA

はじめに

亜鉛めっき、亜鉛合金めっきの耐食性向上を目的に、当社では新型コーティング剤『JN COAT』シリーズを2013年から発売し、家電、自動車等の分野から高い評価を受けている。
『JN COAT』の優れた特性は、自社開発した『Siオリゴマー』により得られている。『Siオリゴマー』の調整に用いる反応触媒の金属種を変えることができ、これを応用して無電解めっき(無電解ニッケル、無電解銅めっき等)に対して反応性を付与することが可能であることが分かった。
これまではガラスやプラスチックなどの難めっき素材に対してめっきする際、素材調整(表面の粗化)やPdコロイドやイオン性Pdによる反応性付与を行なっていた。しかし、自社開発した『Siオリゴマー』を使用したコーティング剤を使用することで、素材調整(表面の粗化、表面改質)や反応性付与の方法に新しい可能性が出てきた。

Siオリゴマーとは


図1にSiオリゴマーの使用例を示す。Siオリゴマーとは一般的にアルコキシシランと架橋剤をゾルゲルプロセスにてモノマーとポリマーの中間にて安定化させた物を指す。Siオリゴマーを300℃以上の高温にてガラス化させたものは一般的に太陽光パネルの反射防止膜等に用いられている。
今回報告するプロセスは低温にて成膜するコンポジットコーティングであり、コーティングとして組み立てる際に、有機物を複合させる事が可能となっている。コンポジットコーティングとする事で、各基材に対して密着性の良い樹脂種を選定して組み立てることが可能となる。また、コーティング膜の物性コントロールも容易に行える利点がある。


図1にSiオリゴマーの使用例を示す。Siオリゴマーとは一般的にアルコキシシランと架橋剤をゾルゲルプロセスにてモノマーとポリマーの中間にて安定化させた物を指す。Siオリゴマーを300℃以上の高温にてガラス化させたものは一般的に太陽光パネルの反射防止膜等に用いられている。
今回報告するプロセスは低温にて成膜するコンポジットコーティングであり、コーティングとして組み立てる際に、有機物を複合させる事が可能となっている。コンポジットコーティングとする事で、各基材に対して密着性の良い樹脂種を選定して組み立てることが可能となる。また、コーティング膜の物性コントロールも容易に行える利点がある。

Siオリゴマーの設計

図2に一般的なシロキサン構造を示す。このような構造では、Si-Si間の極間距離が短いため、高分子化しやすく、金属共存下では液の安定性が悪い。この問題を解決すべく、Si-Si間の架橋として金属とキレートさせることが可能なグリコールを導入した構造体を設計した。設計構造を図3に示す。
グリコールは酸化によりアルデヒドを生成するため、金属還元も期待できる。

図2に一般的なシロキサン構造を示す。このような構造では、Si-Si間の極間距離が短いため、高分子化しやすく、金属共存下では液の安定性が悪い。この問題を解決すべく、Si-Si間の架橋として金属とキレートさせることが可能なグリコールを導入した構造体を設計した。設計構造を図3に示す。
グリコールは酸化によりアルデヒドを生成するため、金属還元も期待できる。

試験方法

①評価サンプルの作成
Pd塩を触媒とし、アルコキシシランより調製したSiオリゴマーを樹脂中に溶解させコーティング液とした。コーティング時の加工条件を表1に記載する。
②触媒性確認試験
コート後各温度にて焼成したサンプルを用い、無電解Niめっきの析出性を確認した。また、酸素の影響を確認すべく真空中での評価も行なった。
③密着性確認試験
硫酸銅めっきまで行なったサンプルを用い、90°引き剥がし試験(JIS C 5012に準ずる)による密着性確認を実施した。
④その他樹脂基材へのメタライズ
P.P.樹脂、P.E.T樹脂、P.T.F.E樹脂上へコーティングを実施し無電解Ni及び硫酸銅めっきを実施した。

①評価サンプルの作成
Pd塩を触媒とし、アルコキシシランより調製したSiオリゴマーを樹脂中に溶解させコーティング液とした。コーティング時の加工条件を表1に記載する。
②触媒性確認試験
コート後各温度にて焼成したサンプルを用い、無電解Niめっきの析出性を確認した。また、酸素の影響を確認すべく真空中での評価も行なった。
③密着性確認試験
硫酸銅めっきまで行なったサンプルを用い、90°引き剥がし試験(JIS C 5012に準ずる)による密着性確認を実施した。
④その他樹脂基材へのメタライズ
P.P.樹脂、P.E.T樹脂、P.T.F.E樹脂上へコーティングを実施し無電解Ni及び硫酸銅めっきを実施した。

結果及び考察

表2に触媒性確認試験結果を示す。成膜時の焼成温度が100℃以上になることで無電解めっきの析出が確認された。焼成温度を150℃以上とする事で安定して析出面積が100%となり、良好な密着性が得られた。
表3に焼成時の酸素の影響について示す。焼成時の酸素濃度が低下すると、無電解Niの析出性が著しく低下する結果が得られた。
表4に90°引き剥がし試験による密着性確認試験の結果を示す。本手法にて加工を行うことで、0.3kgf/m以上のピールを確認した。


図4に樹脂基材上へのメタライズサンプルを示す。P.P.樹脂やP.E.T.樹脂のように耐熱温度が150℃以下の基材に対しては、別途還元処理を実施した。各種樹脂基材においてもガラス同様めっきの析出を確認した。

表2に触媒性確認試験結果を示す。成膜時の焼成温度が100℃以上になることで無電解めっきの析出が確認された。焼成温度を150℃以上とする事で安定して析出面積が100%となり、良好な密着性が得られた。
表3に焼成時の酸素の影響について示す。焼成時の酸素濃度が低下すると、無電解Niの析出性が著しく低下する結果が得られた。
表4に90°引き剥がし試験による密着性確認試験の結果を示す。本手法にて加工を行うことで、0.3kgf/m以上のピールを確認した。


図4に樹脂基材上へのメタライズサンプルを示す。P.P.樹脂やP.E.T.樹脂のように耐熱温度が150℃以下の基材に対しては、別途還元処理を実施した。各種樹脂基材においてもガラス同様めっきの析出を確認した。

結言

本Siオリゴマーを用いる事で各種基材において触媒性を付与できる事を確認した。その中でも焼成温度及び、酸素濃度が成膜時の触媒性に大きく影響していることが確認された。
Siオリゴマーは触媒金属を溶解したエタンジオールとアルコキシシランでの縮合物であるため、大気中で焼成する事によってSiオリゴマー中にポリオール法に類似した還元反応が起こり触媒性を得られていると考えられる。この事から、Siオリゴマー中の金属イオンはエタンジオール起因の有機側鎖にて5員環を形成しているため、高い液安定性が得られ、かつ、成膜過程で還元が起こり膜中で金属化する事から、Siオリゴマーを用いたことで高いピール強度が得られていると推測する。
上記結果より、本プロセスは低温焼成にて性能を得ることを特長としているため、各基材に合わせた有機材料を選定する事で密着性を得る事が可能と考えられる。従来用いられてきた前処理を行わず、各基材に対して新しいめっき手法を提供していきたい。

本Siオリゴマーを用いる事で各種基材において触媒性を付与できる事を確認した。その中でも焼成温度及び、酸素濃度が成膜時の触媒性に大きく影響していることが確認された。
Siオリゴマーは触媒金属を溶解したエタンジオールとアルコキシシランでの縮合物であるため、大気中で焼成する事によってSiオリゴマー中にポリオール法に類似した還元反応が起こり触媒性を得られていると考えられる。この事から、Siオリゴマー中の金属イオンはエタンジオール起因の有機側鎖にて5員環を形成しているため、高い液安定性が得られ、かつ、成膜過程で還元が起こり膜中で金属化する事から、Siオリゴマーを用いたことで高いピール強度が得られていると推測する。
上記結果より、本プロセスは低温焼成にて性能を得ることを特長としているため、各基材に合わせた有機材料を選定する事で密着性を得る事が可能と考えられる。従来用いられてきた前処理を行わず、各基材に対して新しいめっき手法を提供していきたい。

おわりに

本報告は、表面技術協会の第130回表面技術講演大会にて優秀講演賞を受賞いたしました。学術的に評価を頂いた内容にて、今後製品化すべく鋭意研究を行なって参ります。

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JCUテクニカルレポート 98号 2015年8月