経営者メッセージ

活気にあふれる「甲辰」の年、 目指す方向へ邁進

皆さま、明けましておめでとうございます。2024年を迎えました。新年は辰年。辰は十二支の中で最も縁起の良い干支と言われており、さまざまな願いを叶えてくれるだけでなく、あらゆる物事を良い方向へ導いてくれる力があるとされています。また、干支の「甲辰(きのえ・たつ)」をみると、甲は十干の始まりにあたり、生命や物事の始まりを意味します。辰は草木が伸長し、形が整い、活気にあふれている様子を表します。コロナ禍を脱した世界経済、日本経済が地域・各国間の紛争・対立を収束させ、良い方向に向かうことを願っております。

当社にとって24年は4月から、3カ年の新しい中期経営計画がスタートする年となります。23年3月期に過去最高の売上高・営業利益を達成し、24年3月期はその更新を目指していましたが、コロナ禍の巣ごもり需要が終息したことに伴い、スマートフォンやパソコン、タブレットなどの高機能電子機器の需要が世界的に低水準で推移し、更新は難しくなりました。今年は経済動向や業界動向の情報収集をしながら、目指す方向に邁進する年と位置付けています。

すでに、そのための施策は動き始めています。当社は昨年11月に半導体向け表面処理薬品の新ブランド「TIPHARES(ティファレス)」を立ち上げ、次世代半導体の本格的な量産化に向けて攻勢をかけます。まずは、半導体チップ同士を高密度に配線接続する「後工程」向けの薬品である再配線層向け銅めっき薬品と、スパッタシード層一括エッチング薬品を市場投入します。今後は後工程に限らず、次世代半導体に必要とされるシリコン貫通電極(TSV)やメガピラー(垂直方向の接続電極)対応の表面処理薬品を随時市場投入するほか、ハイブリッド接合対応薬品の研究を東北大学と共同で進めていきます。これにより半導体の高速処理や省電力化が期待でき、自動運転や生成AI (人工知能)などのデジタル社会の発展に貢献します。

並行して、土地代を含め約84億円を投資する熊本事業所(仮称)新設プロジェクトが進行しており、当社は25年12月、益城町に研究棟・工場棟を設ける計画です。TIPHARESブランド製品の開発・製造のため、クリーンルームを設置するほか、開発品評価用の専用装置も導入する予定であり、スマートファクトリー、二酸化炭素(CO₂)排出の実質ゼロを見据えた最新鋭の事業所とする計画です。製造拠点が生産本部(新潟県上越市)と分散することで、非常事態発生時のBCP(事業継続計画)にも対応してまいります。

一方、海外では2023年5月にマレーシア現地法人が開所式を行い、本格稼働しました。東南アジアにおける拠点はタイ、ベトナム、インドネシアに次いで4カ国目となります。インド現地法人を含め東南アジアの「東西回廊」体制が整ってきました。当社は海外での売り上げが7割を超え、内訳は中国、台湾、韓国が上位を占めています。その意味で、中国、台湾、韓国の重要性は何ら変わりませんが、集中リスク分散の観点から、東南アジアを注視しています。特に近年では、自動車産業の集積地でもあるタイに欧米企業をはじめ、中国、台湾の顧客もシフトするケースが増えています。当社の現地法人は自動車向け、電子部品向けの両方の表面処理薬品を展開しており、今後、ビジネスチャンスが拡大していくとにらんでいます。

2023年は「耐える年」になりましたが、国内外ともに事業の方向性は明確になってきています。25年3月期~27年3月期の新中計がスタートする24年は、積み重ねた成果が花開く「転換の年」にするため、JCUグループ社員一同が一丸となって邁進してまいります。

代表取締役社長兼CEO
木村 昌志