テクニカルレポート

マレーシア現地法人設立の背景

その他

JCU MALAYSIA SDN. BHD. 王 依緋 Ihi OH

 当社マレーシア現地法人は、2022年9月末に会社登録をしてから、早1年以上が経ちました。現地法人の所在地であるケダ州は、マレーシアを構成する13州のうちの一つであり、マレー半島の北西、マラッカ海峡に面しています。マラッカ海峡を隔てた隣にペナン島を中心とするペナン州があり、ほとんどの外国籍企業の駐在員がペナン島に居住しています。今回は、当社が現地法人を設立するに至った背景と合わせて、近年ケダ州、ペナン州をマレーシアの電子産業にとって必要不可欠な地域に押し上げた、地理的優位性、安価かつ安定したインフラ環境、高い語学力を持つ人材をご紹介します。
 まず地理的優位性として、ケダ州とペナン州は空・海・陸ともに東南アジアにおける輸送の中心点に位置しています。海運では18世紀から交易が盛んであった歴史あるペナン港、空運では工業団地に隣接するペナン国際空港、陸運ではマレー半島を縦に結ぶマレーシア最長の高速道路が物流上の大動脈となって主要な産業地域を結んでおり、ケダ州からタイの国境までは車で2時間の距離です。日本人駐在員にとっては道路が日本と同じ右ハンドルで左側通行であることから、自ら運転して通勤できる数少ない国として人気を集めています。
 次にインフラ環境について、マレーシアは産油国であり、輸送に欠かせないガソリン価格は日本の3分の1程度で、どこのガソリンスタンドでも一律の価格で供給されています。また、製造に多く使用する電力・水は豊富に備えがあり、工業団地では停電停水はほとんどありません。通信面では、SIMフリーのプリペイド方式の携帯電話が一般的で、通信価格が安価なため外国人居住者も非常に便利に使用できます。
 3つ目の人材については、マレーシアはイギリスの植民地化にあった歴史から、母国語のマレー語が公用語、英語が準公用語として使用されています。ビジネスでは英語が公用語で、ペナン州は中華系も多く、中国語も加えて多くの人が3ヵ国以上の言語を話します。また多民族国家であり、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教、キリスト教など様々な宗教が共存し、互いの文化を理解し、多国籍企業にとっては理想的な人材の宝庫です。
 さて、当社グループは、お客さまの近くに拠点を設け、手厚いサポートを行うことが創業以来一貫したビジネスモデルであります。豊富な経験と技術知識を持つ技術営業部隊と、総合研究所の開発部隊との連携が確立しており、お客さまの生産過程で不具合やトラブル発生時にはすぐに駆けつけます。24時間稼働するお客さまの生産ラインが止まることのないよう、現場の問題を解決する技術サポート体制は当社の大きな強みの一つであり、東南アジアはこれまでタイ、ベトナム、インドネシアに拠点を設けています。マレーシアは2018年以降の米中貿易摩擦に起因する一国集中リスクを回避するための戦略拠点として、世界中の電子関連企業がケダ州、ペナン州で投資・拡張を加速させており、市場拡大の可能性が非常に高いこの地域に当社が進出したことは、必然的であったと言えます。マレーシアにおいても技術サポート体制をしっかり整え、日本および他現地法人と密に連携を取りながら、お客さまと共に電子産業の発展に貢献してまいる所存です。ステークホルダーの皆さまにおかれましては、ペナン周辺までお越しの際は、ぜひ当現地法人にもお立ち寄りいただけることを心待ちにしております。

ペナンヒルからのペナン州風景