トップメッセージ
「表面処理技術から未来を創造する」
JCUグループは、1968年に荏原製作所、荏原インフィルコおよび米国ジ・ユージライト・コーポレーションの出資による合弁会社として設立以来、めっき技術を中心とする多様な表面処理薬品や装置の提供を通じ、自動車分野、電子分野などの産業に貢献してきました。今後も研究開発型企業として将来に向け新しい製品を生み出し、提供しています。
創立50周年を迎えた2017年、新たな企業理念「表面処理技術から未来を創造する」を掲げました。この理念は社会貢献に向けた従業員の意識や、過去の知見を活かし想像力で未来を創造する意志が込められたものです。
私たちJCUグループは、人々が生活する上で欠かせない自動車や様々な電子機器などを製造するために必要な材料を提供する「縁の下の力持ち」として、社会に貢献していきます。
「Next 50 Innovation 2nd」を振り返って
昨年度までの中期経営計画「Next 50 Innovation 2nd」の期間中においては、コロナ禍収束以降、経済活動の正常化に伴い市況は回復しました。しかし、最終年度では、自動車部品市場におけるデザイントレンドが変化したことによるめっき部品の減少および世界的な半導体関連市場の低迷により、中期経営計画で掲げる目標値は未達で終えました。
「Next 50 Innovation 2nd」では、「コア事業の強化」と「ESG視点での経営基盤構築」を基本方針として掲げており、遂行の過程で得られた成果は、着実に自社事業の成長に寄与しました。
「コア事業の強化」では、装飾・機能分野における環境負荷を低減した製品ラインナップの拡充、電子分野では主力製品である硫酸銅めっき薬品やエッチング薬品の性能の向上、さらには、新ブランド「TIPHARES」シリーズの立ち上げを実現しました。
「ESG視点での経営基盤構築」では、国内拠点におけるCO₂総排出量20%削減(2014年3月期比)という目標値を一年前倒しで達成。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同表明も行い、国際的な環境非営利団体(NGO)であるCDPで実施された調査「気候変動 2023」では、アジアグローバルの平均がCスコアとされる中でBスコアを獲得するなど、成果を積み上げています。人材育成においては、海外研修制度を新設し、若い社員が仕事のみならず海外の文化風土に触れる機会を生み出しました。
前中期経営計画にて対応しきれていない点については課題と位置付けており、持続的な成長を遂げるためにも、新たな中期経営計画にて継続的に対応してまいります。
JCU VISION 2035|新経営理念体系
長期ビジョン 「JCU VISION 2035」
今回、10年先を見据えた長期ビジョン「JCU VISION 2035」を発表しました。長期的な方向性を示すことで、経営層と従業員が同じベクトルを持つことを重視しており、中期経営計画は長期ビジョンに基づくバックキャスティングにより策定しています。方向性を決める過程で、2035年に目指す姿を「独自の強みを最大限に活かし、環境や社会に貢献することで、社会とともに成長し続けるグローバル企業」とし、達成するために必要な要素として、世界をリードする「唯一無二の技術」、お客様から信頼される「サービス体制」、透明性のある「企業風土」と位置付けました。新中期経営計画「JCU VISION 2035 -1st stage-」においては、10年先の目指す姿を実現するための足がかりとし、基盤を構築するための施策を打っていく予定としております。
成長に向けた戦略とビジョン
2025年3月期からの3か年は成長分野へ積極的に投資を行っていく考えです。投資対象である熊本事業所が稼働することで、自社成長に欠かせない研究開発能力が増強されます。加えて、TIPHARESシリーズの市場定着に向けた拡販を強化していくことで、次の3年間に成果を獲得していき、新たな製品や付加価値の創造に活かします。さらにその先では新事業の創出を視野に成長を目指す構成としています。
当社の製品は売って終わりではなく、お客様が製品を製造する際に如何に製造ラインを止めないよう継続的にサポートをしていくかが重要となります。不良品を出すことで、製造ラインが停止してしまうとお客様の損失につながってしまうため、試験には相応の時間を費やします。また、当社製品で最大限のパフォーマンスを発揮していただくためには、営業スタッフも高い知識をもち、お医者さんになってお客様と対応していく必要があります。お客様と密接な関係構築を通じて、1+1が2ではなく3以上にもなることを常に心がけ、お客様とともに持続的な成長を目指してまいります。
JCU VISION 2035 -1st stage-の基本方針
「JCU VISION 2035 -1st stage-」では、「攻め」と「守り」の施策にバランスよく取り組み、事業の質を高めるための6つの基本方針を策定しました。
まず攻めの基本方針には、半導体アドバンスドパッケージおよび半導体パッケージ基板を中心とした「成長分野への積極的な投資」、コンプライアンス向上や資本効率の改善に向けた「経営基盤の強化」、事業活動の効率化、研究開発の強化を目的とした「DX推進によるデータの利活用」の3つを主軸としております。特に、「成長分野への積極的な投資」の具体的な施策が2025年12月の竣工を目指す熊本事業所であり、設備・人材を通じて非常にインパクトのある投資になると考えます。製品では半導体関連向け表面処理薬品の新ブランド「TIPHARES」をお披露目し、今後は同ブランドの追加製品も複数展開していく予定としております。
また、守りの基本方針には、グローバルに設立された拠点間で得られた情報・知見の共有、事業活動の基盤強化による「既存市場における収益性強化」、当社の重要課題に対する施策実施をはじめとした、様々な社会のニーズに対応するために「サステナビリティ経営の推進」、外部環境や経営戦略に沿った「人的資本、知財・無形資産の活用」の3つを主軸としております。特に、「サステナビリティ経営の推進」における主軸はCO₂対策であり、社会的責任を非常に重視しています。2031年3月期に国内拠点のCO₂実質排出量46%削減(2014年3月期比)を経営目標とし、新潟の生産本部も2031年3月期にCO₂実質排出量ゼロを目標としました。熊本事業所もCO₂排出量が限りなくゼロに近づけることを必須事項とし、また、近隣地域の環境保全を目的とした無排水化にも取り組んでまいります。
JCUグループは、成長投資の推進による事業の収益力強化を図るとともに、事業を通じて社会へ貢献していくことで当社の企業価値の向上につなげていきます。本中期経営計画期間の3か年におきましては、基本方針に則り、当社事業の「質」を高め、世界中のお客様に必要とされる企業を目指してまいります。今後のJCUグループの成長にぜひご期待ください。

JCU VISION 2035|成長シナリオ
JCU VISION 2035|中長期成長ビジョン
JCU VISION 2035 -1st stage-|基本方針
