世界からの投資を呼び込むタイ
JCU(THAILAND)CO., LTD. 根道 靖丈 Yasutake NEMICHI
タイはASEAN・メコン地域の中心部に位置し、カンボジア、ラオス、ミャンマー、マレーシアと国境を接する国です。国土面積は約51万k㎡、人口は約6,600万人であり、国土の約47%(約24万k㎡)が農地面積です。これは日本の農地面積(4.3万k㎡)の約5.5倍にも及びます。また、タイは7万人以上の在留邦人が居住する親日国です。微笑みの国としても親しまれ、旅行先としても日本人に人気の国となっています。
近年、その微笑みの国タイへの投資額が増えてきています。23年のタイへの投資申請総額は前年比43%増の8,483億バーツ(約3兆5,000億円)となり、過去5年間で最高額となりました。内訳ですが、電気自動車関連投資が多く、当社顧客となるプリント基板関連の投資も盛況となっています。
投資の盛んな理由は主に二つあります。
一つ目はタイの外交政策の伝統的な中立性です。タイは米国や中国などのいずれの主要国にも傾倒しすぎないことで安定的な安全保障環境を維持し、経済成長によって軍事政権含め各時代の政権の正当化を図ってきました。中国との間には領有権問題はなく、米国とは安全保障の同盟関係を保っています。
二つ目はタイ投資委員会(Board of Investment:以下、BOI)の優遇措置です。具体的には法人所得税、機械設備輸入税、輸出製品に使用する原料輸入等の各種減免が挙げられます。BOIが1977年に設置されたことで、海外企業の投資が増加し、タイは農業・軽工業から重工業への転換を遂げてきました。
上記の2点が現在および将来も海外企業の進出投資の増加が見込まれる理由です。
このような環境下のタイに、JCUは06年現地法人を設立し、自動車部品用の表面処理薬品の販売を中心に業務を開始、併せてプリント基板向けの表面処理薬品の販売も強化してきました。現時点での当社における薬品販売比率は、自動車部品向けが約4割、プリント基板向けが約6割となっています。今後もタイにおける当社の主要市場は、自動車部品とプリント基板となる見込みですが、この先拡大が予想されるプリント基板の市場に期待しています。近年では、多くの中国・台湾のプリント基板企業がタイへの進出を検討しています。当社では、そういったお客さまにも安心していただけるようJCU(深圳)・台湾JCUとの間でも常に密な情報交換を図っています。さらに、監査・展示会への人員派遣支援なども互いに行い、他拠点の現地スタッフとの積極的な協働体制を築いております。将来的には、グループ間でよりグローバルな規模の柔軟な人員供給体制を築くことで、お客さまへのフォロー体制をより強化していきます。
これらの背景を踏まえ、JCUは2024年7月に新工場を既存工場と同じアマタナコン工業団地内に建設することを決定しました。新工場では、工場の設備拡充やクリーン化、環境改善への取り組みを推進し、お客さまの新たなニーズにこれからも応えていきます。既存工場につきましては、順次新工場へ移転する予定です。
今後も発展が見込まれるタイにおいて、引き続き当社は更なる発展を目指し邁進していきます。バンコクに来訪の際は、ぜひとも当社にお立ち寄り下さい。