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低熱膨張率Fe-Ni合金めっきプロセス INVALLOY(第2報)

JCU INTERNATIONAL, INC. 堀  真雄 Masao HORI

総合研究所 新規技術開発部    橋本 康男 Yasuo HASHIMOTO / 森田 麻美 Asami MORITA

はじめに

前報(JCUテクニカルレポート101号 2017年1月発行)にて低熱膨張率を有するFe-Ni合金めっきプロセス「INVALLOY」を紹介した。本報はその続編となり、熱膨張率と皮膜結晶の関係性の詳細、磁気性能および微細配線へのめっき事例を報告する。

めっき皮膜の結晶状態と熱膨張率

 ① Fe共析率と熱膨張率

INVALLOYで、Fe共析率の異なる皮膜 (膜厚10µm)の熱膨張率(測定範囲25~200℃)を図1に示す。熱膨張率はFe共析率58%で最も低い値を示し、皮膜組成の熱膨張率挙動は2つの変曲点を持つことが確認された。

 

図1 皮膜中のFe共析率と熱膨張率

 

 

② Fe共析率と皮膜結晶構造

図2に、Fe共析率が30、52、58および64%のXRD測定結果を示す。Fe:58%まではNi由来の面心立方格子(fcc)構造を有しており、さらに、そのピーク値はFe共析率が大きいほど高角度側にシフト、つまり、格子間距離が小さく高密度な皮膜であることを確認した。一方で、Fe:64%の皮膜はFe由来の体心立方格子bcc(110)面にピークが現れ、fccとbccの混相であることが確認された。また、FIBによる断面観察からFe:58%までは微細な結晶であるのに対し、Fe:64%では結晶粒径が大きくなることも確認された(図3)。以上により、INVALLOYによるFeNi合金皮膜の熱膨張率は、fcc構造と微細結晶を維持した状態で高密度な皮膜となるとき、最低熱膨張率が得られると考えられる。

 

図2 皮膜中のFe共析率と結晶構造

 

 

 

図3 皮膜中のFe共析率と断面形状

 

 ① Fe共析率と熱膨張率

INVALLOYで、Fe共析率の異なる皮膜 (膜厚10µm)の熱膨張率(測定範囲25~200℃)を図1に示す。熱膨張率はFe共析率58%で最も低い値を示し、皮膜組成の熱膨張率挙動は2つの変曲点を持つことが確認された。

 

図1 皮膜中のFe共析率と熱膨張率

 

 

② Fe共析率と皮膜結晶構造

図2に、Fe共析率が30、52、58および64%のXRD測定結果を示す。Fe:58%まではNi由来の面心立方格子(fcc)構造を有しており、さらに、そのピーク値はFe共析率が大きいほど高角度側にシフト、つまり、格子間距離が小さく高密度な皮膜であることを確認した。一方で、Fe:64%の皮膜はFe由来の体心立方格子bcc(110)面にピークが現れ、fccとbccの混相であることが確認された。また、FIBによる断面観察からFe:58%までは微細な結晶であるのに対し、Fe:64%では結晶粒径が大きくなることも確認された(図3)。以上により、INVALLOYによるFeNi合金皮膜の熱膨張率は、fcc構造と微細結晶を維持した状態で高密度な皮膜となるとき、最低熱膨張率が得られると考えられる。

 

図2 皮膜中のFe共析率と結晶構造

 

 

 

図3 皮膜中のFe共析率と断面形状

 

磁気特性

INVALLOYのFe:55%皮膜と冶金箔のFe:55%(45パーマロイ)で磁気特性の比較評価結果を図4に示す。冶金箔と同等の磁気特性を有していることが確認された。

 

 

図4 磁気特性 (VMS測定結果)

 

INVALLOYのFe:55%皮膜と冶金箔のFe:55%(45パーマロイ)で磁気特性の比較評価結果を図4に示す。冶金箔と同等の磁気特性を有していることが確認された。

 

 

図4 磁気特性 (VMS測定結果)

 

微配線へのめっき

配線幅9µmのパターンレイアウト基板にめっきしたSEM像を図5に示す。良好な矩形性を確認できた。

 

 

図5 めっき後のSEM観察像

 

 

配線幅9µmのパターンレイアウト基板にめっきしたSEM像を図5に示す。良好な矩形性を確認できた。

 

 

図5 めっき後のSEM観察像

 

 

おわりに

本報で紹介した低熱膨張Fe‐Ni合金めっきプロセスINVALLOYは、磁気特性などを目的とした応用の可能性も示唆された。今後は別用途への市場展開も行う予定である。

その他記事

JCUテクニカルレポート 105号 2019年1月