株式会社JCU

JCUテクニカルレポート バックナンバー一覧

塩化物イオン耐性フラッシュエッチングプロセス FA-900

総合研究所
エレクトロニクス技術開発1部 PWB2課
安藤 裕久  Hirohisa ANDO / 文蔵 隆志  Takashi FUMIKURA / 畑中 亮英  Ryoei HATANAKA

はじめに

近年、プリント配線板の生産は、中国をはじめとする東南アジア諸国に急速にシフトしている。現状では総生産量の大半を占め、今後も更なる拡大が見込まれている。また、プリント配線板製造プロセスではサブトラクティブ法と比較して、より微細なパターン形成が可能な「モディファイドセミアディティブ法」(以下、MSAP)が徐々に採用されており、技術力においても目覚しく進歩している。
しかしながら、技術面の進歩が著しい一方で、一部の顧客では製造現場のユーティリティー設備や管理面において不十分な場合があり、製造に使用している薬品に不純物が混入しトラブルに発展するケースがみられる。エッチング液に関するトラブルとして特に多く見られる事例は、塩化物イオンの混入によるトラブルである。一般的に過酸化水素/硫酸系の銅エッチング液は、塩化物イオンの混入により、著しくエッチング速度が低下する性質があるため、塩化物イオンの除去が不十分な純水の使用や作業環境により塩化物イオンの混入が懸念される現場においては、使用を断念せざるを得ないのが現状である。
本稿では上記の問題点を踏まえ、開発を行った塩化物イオン耐性フラッシュエッチング液のFA-900を紹介する。

性能

1)塩化物イオンに対するエッチング速度耐性
図1に、一般ソフトエッチング液(過酸化水素/硫酸系)、当社MSAP用フラッシュエッチング液であるFE-830Ⅱ、本開発品であるFA-900へ塩化物イオンを添加した場合のエッチングレート(以下、E.R)比較を示す。
一般ソフトエッチング液とFE-830Ⅱでは、塩化物イオン1ppmの添加でE.Rが1um/min以下となり、塩化物イオン無添加時の30%以下にまで低下した。一方、FA-900は塩化物イオン1ppm程度の添加であればE.Rは変動しない。10ppm添加でE.Rが10%低下する程度であり、高い塩化物イオン耐性を有していることが判る。


2)フラッシュエッチング後の回路形状
表1に一般ソフトエッチング液、FE-830Ⅱ、FA-900を用いてエッチングを施した回路の断面像を示す(塩化物イオン無添加)。
一般ソフトエッチング液の回路断面像より、下地銅とめっきパターン間に極端な腐食(アンダーカット)が発生している。FE-830Ⅱによる回路断面ではアンダーカットが無く、回路形状は矩形を保ち、理想的な形状が得られていることが判る。本開発品であるFA-900の回路断面においては、回路トップのエッジ箇所がやや丸みを帯びるものの、FE-830Ⅱ同様、アンダーカットは発生せず、良好な形状が得られている。
また、一般ソフトエッチング液とFA-900に塩化物イオンを添加(5ppm)しフラッシュエッチングを施した場合の回路断面像を表2に示す。一般ソフトエッチング液は塩化物イオンの添加により、フラッシュエッチング後の回路トップ幅とボトム幅の差が大きくなり、台形状となる。一方、FA-900は塩化物イオンの有無によって回路トップ幅とボトム幅の比率が変動することなく矩形状が得られていることが判る。


3)連続加工安定性
FA-900は銅溶解量に応じ、定量的な補給とオーバーフローを行い一定濃度で管理することで再建浴を必要とせず、連続的に稼動することが出来る。銅濃度の上昇に伴いE.Rは低下するが、銅濃度飽和後E.Rは一定化する。フラッシュエッチング後の回路形状は銅濃度に依存せず、良好な矩形形状を維持する。

1)塩化物イオンに対するエッチング速度耐性
図1に、一般ソフトエッチング液(過酸化水素/硫酸系)、当社MSAP用フラッシュエッチング液であるFE-830Ⅱ、本開発品であるFA-900へ塩化物イオンを添加した場合のエッチングレート(以下、E.R)比較を示す。
一般ソフトエッチング液とFE-830Ⅱでは、塩化物イオン1ppmの添加でE.Rが1um/min以下となり、塩化物イオン無添加時の30%以下にまで低下した。一方、FA-900は塩化物イオン1ppm程度の添加であればE.Rは変動しない。10ppm添加でE.Rが10%低下する程度であり、高い塩化物イオン耐性を有していることが判る。


2)フラッシュエッチング後の回路形状
表1に一般ソフトエッチング液、FE-830Ⅱ、FA-900を用いてエッチングを施した回路の断面像を示す(塩化物イオン無添加)。
一般ソフトエッチング液の回路断面像より、下地銅とめっきパターン間に極端な腐食(アンダーカット)が発生している。FE-830Ⅱによる回路断面ではアンダーカットが無く、回路形状は矩形を保ち、理想的な形状が得られていることが判る。本開発品であるFA-900の回路断面においては、回路トップのエッジ箇所がやや丸みを帯びるものの、FE-830Ⅱ同様、アンダーカットは発生せず、良好な形状が得られている。
また、一般ソフトエッチング液とFA-900に塩化物イオンを添加(5ppm)しフラッシュエッチングを施した場合の回路断面像を表2に示す。一般ソフトエッチング液は塩化物イオンの添加により、フラッシュエッチング後の回路トップ幅とボトム幅の差が大きくなり、台形状となる。一方、FA-900は塩化物イオンの有無によって回路トップ幅とボトム幅の比率が変動することなく矩形状が得られていることが判る。


3)連続加工安定性
FA-900は銅溶解量に応じ、定量的な補給とオーバーフローを行い一定濃度で管理することで再建浴を必要とせず、連続的に稼動することが出来る。銅濃度の上昇に伴いE.Rは低下するが、銅濃度飽和後E.Rは一定化する。フラッシュエッチング後の回路形状は銅濃度に依存せず、良好な矩形形状を維持する。

おわりに

本稿で紹介したフラッシュエッチング液「FA-900」は、これまで過酸化水素/硫酸系のエッチング液の使用が困難とされてきた塩化物イオン混入が見込まれる環境下においても良好な生産性と回路形状が期待できる。

その他記事

JCUテクニカルレポート 96号 2014年8月