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基板用電解ニッケル/パラジウム/金-コバルトめっきの検討

総合研究所
エレクトロニクス技術開発2部
貴金属・デバイスめっき技術課
佐藤 麻里 Mari SATO / 高橋 秀臣 Hideomi TAKAHASHI

はじめに

電気伝導性および耐食性に優れる金めっきは、プリント配線板の最終表面処理に使われる。用途によって金めっきは使い分けがされており、図1に使用例を示す。


 以前の報告では接合用パッド面に使用する軟質の純金めっきを取り上げた。純金めっきには、無電解めっきと電解めっきがあり、はんだやワイヤボンディングなどの接合面として使用される(本報VOL.92)。今回報告する基板コンタクト面への金めっきには、金-コバルトまたは金-ニッケルなどの金合金めっきが使用されている。これはコンタクト面が外部環境にさらされるため電気伝導性、耐食性に加えて耐摩耗性が必要となるためである。このような用途では、金めっき膜厚を厚くする仕様が一般 的である。しかし、金めっきは高価なため、コスト低減の薄膜化が強く望まれている。
金-コバルトめっきには微細なピンホールがあると言われており、薄膜化させると耐食性が低下することが分かっている。そこで、我々は金-コバルトめっきを薄膜化し、コストを低減しつつ耐食性を維持する方法として、ニッケル/金-コバルトめっき間にバリア層である純パラジウムめっきを施すことを提案する。以下にその検討結果をご紹介する。

検討条件

ニッケルめっきの耐食性による影響を考慮するために、ニッケ ルめっきは無光沢と光沢の両方を評価した。金-コバルトめっきは0.3μm以上の膜厚があれば、一定の性能を示すとされている。そこで、金-コバルトめっきの膜厚0.3μmを基準1、4とし、金-コバルトめっきを薄膜化した2、5、パラジウムめっきを施した3、6を用意した。
表1に検討しためっき種および膜厚を示す。


耐食性の評価方法としては、SST試験(塩水噴霧試験)を24hおよび硝酸ばっき試験を1h行った。

ニッケルめっきの耐食性による影響を考慮するために、ニッケ ルめっきは無光沢と光沢の両方を評価した。金-コバルトめっきは0.3μm以上の膜厚があれば、一定の性能を示すとされている。そこで、金-コバルトめっきの膜厚0.3μmを基準1、4とし、金-コバルトめっきを薄膜化した2、5、パラジウムめっきを施した3、6を用意した。
表1に検討しためっき種および膜厚を示す。


耐食性の評価方法としては、SST試験(塩水噴霧試験)を24hおよび硝酸ばっき試験を1h行った。

耐食性評価結果

図2にSST試験結果(24h)を、図3に硝酸ばっき試験結果(1h)を示す。図2、図3において〇で示した部分は腐食が見られる部分である。
SST試験を24h行った場合、ニッケルめっきの種類にかかわらず金-コバルトめっきを薄くする(0.1μm)と腐食が全体に広がる。しかし、ニッケルめっきと金-コバルトめっき間にパラジウムめっきをすることで、金‐コバルト(0.3μm)に相当する耐食性を示した。
硝酸ばっき試験を1h行った場合、無光沢ニッケルの場合、部分的に変色が見られたが、パラジウムめっきをすることで耐食性が向上することが確認できる。光沢ニッケルめっきでは金-コバルトめっきの膜厚、パラジウムめっきの有無にかかわらず変色は見られなかった。


図2にSST試験結果(24h)を、図3に硝酸ばっき試験結果(1h)を示す。図2、図3において〇で示した部分は腐食が見られる部分である。
SST試験を24h行った場合、ニッケルめっきの種類にかかわらず金-コバルトめっきを薄くする(0.1μm)と腐食が全体に広がる。しかし、ニッケルめっきと金-コバルトめっき間にパラジウムめっきをすることで、金‐コバルト(0.3μm)に相当する耐食性を示した。
硝酸ばっき試験を1h行った場合、無光沢ニッケルの場合、部分的に変色が見られたが、パラジウムめっきをすることで耐食性が向上することが確認できる。光沢ニッケルめっきでは金-コバルトめっきの膜厚、パラジウムめっきの有無にかかわらず変色は見られなかった。


まとめ

基板のコンタクト面は挿抜性が求められるため平滑で硬い光沢ニッケルが使われる。本報の結果から、光沢ニッケル/パラジウム/金-コバルトめっきを使うことで、従来と同等以上の耐食性を維持しつつ金薄膜化が可能となる。

基板のコンタクト面は挿抜性が求められるため平滑で硬い光沢ニッケルが使われる。本報の結果から、光沢ニッケル/パラジウム/金-コバルトめっきを使うことで、従来と同等以上の耐食性を維持しつつ金薄膜化が可能となる。

おわりに

金めっきおよび金合金めっきの薄膜化は、コストパフォーマンスの観点から今後ますます加速する。このため金の薄膜化によって起こる問題は無視できなくなっていくと思われる。パラジウムめっきには、金めっきへのニッケルの熱拡散を抑え、耐食性を向上させるなどの多くの利点があることが前報および今回の報告によって明らかにされつつある。今後もニーズに合った各種貴金属めっきプロセスの開発を続けていく。

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JCUテクニカルレポート 94号 2013年9月