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ナノコーティングによる亜鉛および亜鉛合金めっき用黒色コーティングプロセス

新事業技術統括部
西川 賢一 Kenichi NISHIKAWA / 根道 靖丈 Yasutake NEMICHI / 佐土原 大祐 Daisuke SADOHAR

 

新事業営業推進部
下田 勝己 Katsumi SHIMODA

はじめに

ボルト部品(以下締結部品)は、自動車・家電・建築など幅広い分野で使用されおり、非常に重要な部品である。 締結部品に求められる性能には、耐食性のほかにトルク係数などが挙げられる。現状では、それらの性能を満たすために複雑な工程や時間、管理が必要となっている。

今回紹介するナノコーティングは、台湾のNANMAT社が開発したゾルゲル法を用いたセラミックコート技術であり、めっき技術と塗装技術を融合した新しい表面処理である。ナノコーティングを締結部品に使用することで、工程の短縮と工程管理工数が削減されるため、コスト対策に貢献できる。

ナノコーティングを安定供給するために、2010年初めに当社はNANMAT社と合弁にてJCUNanoMate社を設立し、国内での供給体制とフォロー体制を整備した。

背景

自動車産業界において、ボルトなどの締結部品に6価クロムを含有する化成処理を行なわなくなって久しい。6価クロムを含有する化成処理に代わる表面処理として、3価クロムを主成分とする化成処理品の開発が進められ、今ではこの手法が主流として市場に定着した。しかしながら、3価クロム化成処理では、それまでのクロメート処理のような耐食性能と外観(色調)が得られず、特に高防錆処理においては仕上げ処理工程を組み入れなければならない。締結部品では、トルク係数調整のために専用の調整処理を別途必要とする。このように3価クロム化成処理で耐食性能とトルク係数の両方を満足させるためには、複雑な工程管理が必要となり、コスト高となっている。
ナノコーティングは、専用の黒色化成処理液を用いることで優れた耐食性が得られ、別途トルク調整処理を行わなくてもトルク係数の調整が可能である。さらには得られた塗膜は均一で光沢のある優美な黒色外観が得られる。

自動車産業界において、ボルトなどの締結部品に6価クロムを含有する化成処理を行なわなくなって久しい。6価クロムを含有する化成処理に代わる表面処理として、3価クロムを主成分とする化成処理品の開発が進められ、今ではこの手法が主流として市場に定着した。しかしながら、3価クロム化成処理では、それまでのクロメート処理のような耐食性能と外観(色調)が得られず、特に高防錆処理においては仕上げ処理工程を組み入れなければならない。締結部品では、トルク係数調整のために専用の調整処理を別途必要とする。このように3価クロム化成処理で耐食性能とトルク係数の両方を満足させるためには、複雑な工程管理が必要となり、コスト高となっている。
ナノコーティングは、専用の黒色化成処理液を用いることで優れた耐食性が得られ、別途トルク調整処理を行わなくてもトルク係数の調整が可能である。さらには得られた塗膜は均一で光沢のある優美な黒色外観が得られる。

特長

1)ナノコーティング処理の皮膜は、薄膜(2~3μm)で均一な光沢のある黒色外観となる。
2)専用の化成処理液を使用することで、優れた耐食性能が得られる。
3)摩擦係数の調整が0.1~0.35まで可能である。

1)ナノコーティング処理の皮膜は、薄膜(2~3μm)で均一な光沢のある黒色外観となる。
2)専用の化成処理液を使用することで、優れた耐食性能が得られる。
3)摩擦係数の調整が0.1~0.35まで可能である。

処理工程

ナノコーティング処理の工程を図1に示す。ナノコーティングは亜鉛めっきに直接処理することができる。さらに専用の黒色化成処理トライバレント1200を使用することで、より耐食性を高めることができる。

また、亜鉛めっきのほかにもジンクリッチペイントなどに直接処理することができる。

図1 ナノコーティングの処理工程

ナノコーティング処理の工程を図1に示す。ナノコーティングは亜鉛めっきに直接処理することができる。さらに専用の黒色化成処理トライバレント1200を使用することで、より耐食性を高めることができる。

また、亜鉛めっきのほかにもジンクリッチペイントなどに直接処理することができる。

図1 ナノコーティングの処理工程

各工程での外観

亜鉛めっき上への処理の場合、より一層強い黒味外観を得るためには下地の調整を行う。専用の3価クロム化成処理トライバレント1200プロセスを用いることで、均一な光沢外観と密着性、高耐食性能を付与することが可能となる。
図2に各工程の外観写真を示す。

図2 外観写真

亜鉛めっき上への処理の場合、より一層強い黒味外観を得るためには下地の調整を行う。専用の3価クロム化成処理トライバレント1200プロセスを用いることで、均一な光沢外観と密着性、高耐食性能を付与することが可能となる。
図2に各工程の外観写真を示す。

図2 外観写真

亜鉛めっき上のナノコーティングの皮膜断面

図3にナノコーティング皮膜の断面写真を示す。トライバレント1200を使用することで亜鉛めっき表面が適度に粗化されて、ナノコーティング皮膜との密着性が向上する。下地の表面粗さが1μm程度あれば、ナノコーティングを1~3μm程度塗布することで十分な光沢が得られる。

図3 断面写真(X10,000)

図3にナノコーティング皮膜の断面写真を示す。トライバレント1200を使用することで亜鉛めっき表面が適度に粗化されて、ナノコーティング皮膜との密着性が向上する。下地の表面粗さが1μm程度あれば、ナノコーティングを1~3μm程度塗布することで十分な光沢が得られる。

図3 断面写真(X10,000)

ナノコーティングの耐食性

亜鉛めっき上にナノコーティング処理を行なうことで、現行の高耐食性の高ニッケル共析亜鉛-ニッケルプロセスに匹敵する耐食性が得られる。そのため、従来の必要とされた仕上げ処理、トルカー処理が不要となる。
図4に塩水噴霧試験での耐食性結果を示す。

図4 塩水噴霧試験での耐食性能(JIS Z 2371 W.R 5% 評価)

亜鉛めっき上にナノコーティング処理を行なうことで、現行の高耐食性の高ニッケル共析亜鉛-ニッケルプロセスに匹敵する耐食性が得られる。そのため、従来の必要とされた仕上げ処理、トルカー処理が不要となる。
図4に塩水噴霧試験での耐食性結果を示す。

図4 塩水噴霧試験での耐食性能(JIS Z 2371 W.R 5% 評価)

管理

ナノコーティングは主に固形分濃度で薬品管理を行なう。分析は重量法により容易に行なえる。また、粘性については、イワタカップ等での管理となる。
膜厚は、塗着量で管理するが、断面・表面粗さ計でも測定可能である。

図5 ナノコーティングの処理装置

ナノコーティングは主に固形分濃度で薬品管理を行なう。分析は重量法により容易に行なえる。また、粘性については、イワタカップ等での管理となる。
膜厚は、塗着量で管理するが、断面・表面粗さ計でも測定可能である。

図5 ナノコーティングの処理装置

ナノコーティング処理専用ライン

図5にナノコーティングの処理装置を示す。ナノコーティングは専用の処理装置を使用することで、効率的な量産が可能となる。処理装置の概要について、以下に説明する。

①ロード(重量計測が可能)
 品物の投入口であり、あらかじめ設定した処理量の重量測定を行なう。(図6)
②処理槽
 品物投入後に処理液が送液され、振り切りと同時に排液が行われるので回収能力に優れている。(図7)


③リザーブタンク
 リザーブタンクは②処理槽に併設され、液の送出と回収を行なう。(図8)
④焼成およびアンロード
 塗布された品物がコンベアにて160~200℃で焼成される。(図9)

図5にナノコーティングの処理装置を示す。ナノコーティングは専用の処理装置を使用することで、効率的な量産が可能となる。処理装置の概要について、以下に説明する。

①ロード(重量計測が可能)
 品物の投入口であり、あらかじめ設定した処理量の重量測定を行なう。(図6)
②処理槽
 品物投入後に処理液が送液され、振り切りと同時に排液が行われるので回収能力に優れている。(図7)


③リザーブタンク
 リザーブタンクは②処理槽に併設され、液の送出と回収を行なう。(図8)
④焼成およびアンロード
 塗布された品物がコンベアにて160~200℃で焼成される。(図9)

おわりに

ナノコーティングは従来の亜鉛めっき・塗装ボルト上に塗布することにより、非常に優れた光沢性および均一な黒色外観、耐食性能が得られる。
ボルトに代表される締結部品は自動車や建築材料向けの需要が多かったが、ナノコーティングの外観は家電やインテリア用品市場の要求にも十分応えられるものである。色調も黒色だけでなく、今後は多くのラインナップを取り揃える予定である。
最後になるが、ナノコーティングは各種金属との密着性にも優れるため、アルミホイールなどのアルミニウムやマグネシウムなどの金属上への直接処理についても期待されている。

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JCUテクニカルレポート 89号 2011年1月