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JCUテクニカルレポート バックナンバー一覧

MSAP適合プロセス (エッチング、プラズマ、銅めっき)

戦略マーケティング部
萩原 秀樹 Hideki HAGIWARA

 

総合研究所
エッチング技術課
山崎 宣広 Nobuhiro YAMAZAKI

MSAPの背景

全層をエッチングで回路形成を行うサブトラクティブ工法(以下:サブトラ)に対し、シード層のみをエッチングして回路形成を行うセミアディティブ工法(以下:SAP)がある。前者に対し、後者は微細配線形成に優れていることが知られているが、そのSAPの中にもシード層を無電解銅で成膜するものと、電解銅箔と無電解銅で成膜するものの2種類がある。いま主流である無電解銅タイプは、サブトラでは困難なL/S=20um/20um以下の微細配線形成が可能な反面、1)樹脂との密着性が弱い、2)生産コストが高い、3)生産管理が難しい等が懸念されており、アプリケーション用途はICサブストレート基板(以下:PKG)など、一部のハイエンド基板に限定されている。

この様な背景の中、近年では電解銅箔と無電解銅タイプのセミアディティブ工法(以下:MSAP)が注目されている。その大きな要因は、微細配線形成こそSAPに及ばないもののサブトラよりは向上し、既存のサブトラの設備を用いて上記1)-3)のSAP弱点も補える点にある。これにより、用途もPKGだけでなく、細線化に伴う積層層数の削減が可能となり、携帯端末のマザーボードなどハイデンシティーインターコネクト基板(以下:HDI)にも採用され始めている。

全層をエッチングで回路形成を行うサブトラクティブ工法(以下:サブトラ)に対し、シード層のみをエッチングして回路形成を行うセミアディティブ工法(以下:SAP)がある。前者に対し、後者は微細配線形成に優れていることが知られているが、そのSAPの中にもシード層を無電解銅で成膜するものと、電解銅箔と無電解銅で成膜するものの2種類がある。いま主流である無電解銅タイプは、サブトラでは困難なL/S=20um/20um以下の微細配線形成が可能な反面、1)樹脂との密着性が弱い、2)生産コストが高い、3)生産管理が難しい等が懸念されており、アプリケーション用途はICサブストレート基板(以下:PKG)など、一部のハイエンド基板に限定されている。

この様な背景の中、近年では電解銅箔と無電解銅タイプのセミアディティブ工法(以下:MSAP)が注目されている。その大きな要因は、微細配線形成こそSAPに及ばないもののサブトラよりは向上し、既存のサブトラの設備を用いて上記1)-3)のSAP弱点も補える点にある。これにより、用途もPKGだけでなく、細線化に伴う積層層数の削減が可能となり、携帯端末のマザーボードなどハイデンシティーインターコネクト基板(以下:HDI)にも採用され始めている。

MSAPの特長

MSAPはベース基材の銅箔薄膜化、または絶縁層(樹脂)に薄膜銅箔をラミネートした後、NC加工し、次いでデスミア・無電解銅及び、めっきレジスト(以下:DFR)処理を施す。最近では、樹脂の粗化に伴う伝送効率の低下(表皮効果)対策として、各種銅箔のロープロファイル化が進んでおり、SAPでの弱点を補う一番の特長となってきている。SAP向けの先端研究でも、樹脂を粗化しないで高密着を得る無電解銅や、平滑な樹脂と銅箔面を化学結合で高密着を得る(プライマリー処理)研究が進められている。ここ1~2年の動向を見る限り、性能の安定化や低コスト要求から、MSAP技術の確立が急がれる要因にもなっている。

MSAPはベース基材の銅箔薄膜化、または絶縁層(樹脂)に薄膜銅箔をラミネートした後、NC加工し、次いでデスミア・無電解銅及び、めっきレジスト(以下:DFR)処理を施す。最近では、樹脂の粗化に伴う伝送効率の低下(表皮効果)対策として、各種銅箔のロープロファイル化が進んでおり、SAPでの弱点を補う一番の特長となってきている。SAP向けの先端研究でも、樹脂を粗化しないで高密着を得る無電解銅や、平滑な樹脂と銅箔面を化学結合で高密着を得る(プライマリー処理)研究が進められている。ここ1~2年の動向を見る限り、性能の安定化や低コスト要求から、MSAP技術の確立が急がれる要因にもなっている。

MSAP用フラッシュエッチングプロセス:FE-830Ⅱ

シード層に0.5~1um程度の無電解銅を用いるSAPに比べ、MSAPでは3~5um程度の電解銅箔と無電解銅をベース銅として用いるため、必然的に回路形成時のフラッシュエッチング(以下:エッチング)量は多くなる。このため、一般的なエッチング液(過酸化水素/硫酸系)では、回路の細線化に伴う配線上部の丸みや下部の過剰侵食、スルーホールコーナー部へのアタックなど、多くの懸念事項が指摘されている。「エバケムファインエッチFE-830Ⅱ」は、この様な問題点の改善を目的に開発したプロセスである。

このプロセスの特長は、先に述べたエッチングに伴う配線丸みや下部の過剰侵食(図1)、スルーホールコーナー部へのアタック(図2)など、問題点の改善に有効である。

このエッチングの原理は、液流動の多い箇所すなわち、回路Top部やスルーホールコーナー部へインヒビター成分をより多く吸着させ、その部分の銅表面を保護する事によりエッチングを抑制および制御して回路の矩形形状を維持させる。(図3)

また最近の現場事例では、回路底部での過剰浸食(以下:アンダーカット)も報告されているが、この要因はエッチング工程だけにあるのではなく、その多くは電解銅めっき前の回路部にDFR残渣(図4)が生じた場合、その上に電解銅めっきが成長し、回路形成エッチング時にDFR残渣と、ベース銅または電解銅の界面からエッチング液が浸透し、その結果アンダーカットが発生すると推測される。本現象は狭ピッチ化に伴い増加することが予想され、DFR残渣除去が歩留まり向上の大きな鍵と考える。

図1 回路形成時によるFE-830Ⅱの効果

図2 FE-830Ⅱによるエッチング性能

図3 FE-830Ⅱのエッチング原理

図4 回路底部のDFR残渣

シード層に0.5~1um程度の無電解銅を用いるSAPに比べ、MSAPでは3~5um程度の電解銅箔と無電解銅をベース銅として用いるため、必然的に回路形成時のフラッシュエッチング(以下:エッチング)量は多くなる。このため、一般的なエッチング液(過酸化水素/硫酸系)では、回路の細線化に伴う配線上部の丸みや下部の過剰侵食、スルーホールコーナー部へのアタックなど、多くの懸念事項が指摘されている。「エバケムファインエッチFE-830Ⅱ」は、この様な問題点の改善を目的に開発したプロセスである。

このプロセスの特長は、先に述べたエッチングに伴う配線丸みや下部の過剰侵食(図1)、スルーホールコーナー部へのアタック(図2)など、問題点の改善に有効である。

このエッチングの原理は、液流動の多い箇所すなわち、回路Top部やスルーホールコーナー部へインヒビター成分をより多く吸着させ、その部分の銅表面を保護する事によりエッチングを抑制および制御して回路の矩形形状を維持させる。(図3)

また最近の現場事例では、回路底部での過剰浸食(以下:アンダーカット)も報告されているが、この要因はエッチング工程だけにあるのではなく、その多くは電解銅めっき前の回路部にDFR残渣(図4)が生じた場合、その上に電解銅めっきが成長し、回路形成エッチング時にDFR残渣と、ベース銅または電解銅の界面からエッチング液が浸透し、その結果アンダーカットが発生すると推測される。本現象は狭ピッチ化に伴い増加することが予想され、DFR残渣除去が歩留まり向上の大きな鍵と考える。

図1 回路形成時によるFE-830Ⅱの効果

図2 FE-830Ⅱによるエッチング性能

図3 FE-830Ⅱのエッチング原理

図4 回路底部のDFR残渣

DFR残渣除去装置:大海(TAIKAI)

我々は、この対策としてプラズマ処理装置:大海での解決を提案している。(JCUテクニカルレポートVol.88ご参考)既存の現像液によるウェット処理条件では、細線化したDFR間の液循環が限界に近づいており、DFR残渣や裾引き(図5)が発生してしまう。一方、過剰なウェット処理条件でもDFRの浮きや剥がれを生じてしまい問題となる。そこで、大海によりプラズマ処理(ドライエッチング)を行えば、効果的な有機物除去が可能であることから、ベース銅表面のDFR残渣除去のほか、DFRの裾引き防止(図6)、細線化したDFRの密着性確保など、回路形状矩形化の最適条件を揃えることが出来る。この大海はバッチ処理のプラズマ装置で、高いエッチング均一性と生産性を兼ね備え、ユーザーからは高い評価を得ている。

図5 裾引きによるDFRの食い込み例

図6 プラズマによる裾引き改善例

我々は、この対策としてプラズマ処理装置:大海での解決を提案している。(JCUテクニカルレポートVol.88ご参考)既存の現像液によるウェット処理条件では、細線化したDFR間の液循環が限界に近づいており、DFR残渣や裾引き(図5)が発生してしまう。一方、過剰なウェット処理条件でもDFRの浮きや剥がれを生じてしまい問題となる。そこで、大海によりプラズマ処理(ドライエッチング)を行えば、効果的な有機物除去が可能であることから、ベース銅表面のDFR残渣除去のほか、DFRの裾引き防止(図6)、細線化したDFRの密着性確保など、回路形状矩形化の最適条件を揃えることが出来る。この大海はバッチ処理のプラズマ装置で、高いエッチング均一性と生産性を兼ね備え、ユーザーからは高い評価を得ている。

図5 裾引きによるDFRの食い込み例

図6 プラズマによる裾引き改善例

MSAP用の電解銅めっきの最適化

MSAPに用いられる電解銅めっきには、ビアフィリングタイプとコンフォーマルタイプがある。これらはPKGにもHDIにも適応されているが、ビアフィリングタイプには薄膜厚で良好なフィリング性能、コンフォーマルタイプにはビア底部の厚膜化など、既存プロセスの性能を大幅に上回る新製品の開発を急ピッチで進めている。(図7)
今後も、我々JCUの研究開発にご期待ください。

図7 薄膜フィルドめっき例(左)とビア底部の厚膜コンフォーマル例(右)

MSAPに用いられる電解銅めっきには、ビアフィリングタイプとコンフォーマルタイプがある。これらはPKGにもHDIにも適応されているが、ビアフィリングタイプには薄膜厚で良好なフィリング性能、コンフォーマルタイプにはビア底部の厚膜化など、既存プロセスの性能を大幅に上回る新製品の開発を急ピッチで進めている。(図7)
今後も、我々JCUの研究開発にご期待ください。

図7 薄膜フィルドめっき例(左)とビア底部の厚膜コンフォーマル例(右)

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JCUテクニカルレポート 89号 2011年1月