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高密着シード層形成無電解めっきプロセス AISL

総合研究所
次世代技術開発2部1課
清水 悟 Satoru SHIMIZU / 望月 夕佳 Yuka MOCHIZUKI / 大森 隆史 Takafumi OHMORI / 岩切 彩 Aya WAKIRI

はじめに

近年、プリント基板や電子部品では高周波・高密度化に伴い、低誘電絶縁材料や導体回路表面の平滑化が求められている。通常、樹脂への無電解めっきでは、クロム酸や過マンガン酸で表面を粗化処理することで密着を得ているが、ギガヘルツ帯域の高速伝送では導体回路表面が凹凸であると信号遅延を生ずる為、平滑表面で高密着が得られるプロセスが望まれている。
(株)関東学院大学表面工学研究所の技術協力により完成した『AISLプロセス』は、UV照射による表面改質とホルマリンフリーの無電解めっき処理により、平滑樹脂面への高密着シード層形成を実現した環境調和型めっきプロセスである。

特長

1.クロム酸や過マンガン酸等のエッチングを使用せずUV照射による表面改質を行なう為、素材表面の平滑性は維持される。
2.平滑面へのめっきプロセスである為、回路の導体損失は低減でき、ファイン回路を形成しやすい。またエッチング残渣が残りにくく、耐マイグレーション性も良好である。
3.還元剤に有害なホルマリンを使用しない、次亜リン酸タイプの無電解銅ニッケルリンめっきである。
4.平滑表面でもブリスターの発生が無く高密着皮膜が得られる。
5.めっき液は弱アルカリ性である為、素材への影響が少ない。

1.クロム酸や過マンガン酸等のエッチングを使用せずUV照射による表面改質を行なう為、素材表面の平滑性は維持される。
2.平滑面へのめっきプロセスである為、回路の導体損失は低減でき、ファイン回路を形成しやすい。またエッチング残渣が残りにくく、耐マイグレーション性も良好である。
3.還元剤に有害なホルマリンを使用しない、次亜リン酸タイプの無電解銅ニッケルリンめっきである。
4.平滑表面でもブリスターの発生が無く高密着皮膜が得られる。
5.めっき液は弱アルカリ性である為、素材への影響が少ない。

処理工程

『AISLプロセス』の標準処理工程を図1に、密着処理のイメージ図を図2に示す。

『AISLプロセス』の標準処理工程を図1に、密着処理のイメージ図を図2に示す。

無電解めっき種と密着性

平滑表面に無電解銅めっきをする場合、ホルマリンタイプの浴では、めっき反応で生成する水素ガスによりめっき皮膜にブリスターが生じやすい。『AISLプロセス』の無電解銅ニッケルリンめっきはブリスターの発生がないことが特長で、ホルマリンタイプと比較して高密着性が得られる。

平滑表面に無電解銅めっきをする場合、ホルマリンタイプの浴では、めっき反応で生成する水素ガスによりめっき皮膜にブリスターが生じやすい。『AISLプロセス』の無電解銅ニッケルリンめっきはブリスターの発生がないことが特長で、ホルマリンタイプと比較して高密着性が得られる。

各樹脂材料でのピール強度

ガラス強化ナイロン樹脂は、ポリアミドをガラス繊維などで強化することによりエンジニアリングプラスチックの中でも強度・剛性が大きい樹脂として、金属代替材料など様々な分野で使用されている。またCOP(シクロオレフィンポリマー)はプラスチックの中で最も吸水率が低く、また低誘電率・低誘電正接であることから電気絶縁用途に使用されている。
これらの樹脂は、従来のめっき処理ではエッチング処理により表面を粗化しなければ密着を得ることが難しかったが、『AISLプロセス』では有害なエッチング薬品を使用することなく、平滑表面で高いピール強度が得られる。

表1 無電解めっき種による各樹脂材料のピール

ガラス強化ナイロン樹脂は、ポリアミドをガラス繊維などで強化することによりエンジニアリングプラスチックの中でも強度・剛性が大きい樹脂として、金属代替材料など様々な分野で使用されている。またCOP(シクロオレフィンポリマー)はプラスチックの中で最も吸水率が低く、また低誘電率・低誘電正接であることから電気絶縁用途に使用されている。
これらの樹脂は、従来のめっき処理ではエッチング処理により表面を粗化しなければ密着を得ることが難しかったが、『AISLプロセス』では有害なエッチング薬品を使用することなく、平滑表面で高いピール強度が得られる。

表1 無電解めっき種による各樹脂材料のピール

おわりに

今回ご紹介した『AISLプロセス』は、これまでめっき密着性を得ることが困難であったエンジニアリングプラスチックの平滑表面への高密着シード層形成を実現した。これにより微細平滑回路の形成が可能となり、また環境負荷物質を用いないことで作業環境も大きく改善される。
『AISLプロセス』は樹脂材料に合わせて最適なめっき工程を設計することにより、各種樹脂材料への高密着めっきが可能であり、エレクトロニクス分野、装飾めっきなど様々な分野での応用が 期待される。

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JCUテクニカルレポート 87号 2010年1月