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低粗度セミアディティブ基板用デスミア・無電解銅めっきプロセス

総合研究所
次世代技術開発2部 第1課
清水 悟 Satoru SHIMIZU / 岩切 彩 Aya IWAKIRI

 

解析センター
安田 弘樹 Hiroki YASUDA

はじめに

MPUパッケージ用ビルドアップ基板の回路形成に採用されているセミアディティブ法(SAP)では、過マンガン酸エッチングでレーザービアホール底のスミアを除去するとともに、積層フィルム表面の樹脂を粗化し3~5μmの凹凸を形成することで、樹脂と無電解銅めっき皮膜間の密着を高めている。しかし、L/S=10/10μm以下の微細配線になると従来の粗化表面には高精度で形成できない。配線の微細化に伴い樹脂表面の平滑化が要求される。そのため今後の無電解銅めっきプロセスは低粗度表面での化学的密着が重要となる(図1)。本報では低粗度SAP用高密着型デスミア・無電解銅めっきプロセス「FEED」について紹介する。

FEEDの特長

低粗度表面での高い密着性を得るため、表1の4工程の製品を開発および改良した。これらの工程の組み合わせにより表面粗さRa80~200nmの低粗度の積層フィルムに対しピール強度0.6~0.75kN/mが達成された。

低粗度表面での高い密着性を得るため、表1の4工程の製品を開発および改良した。これらの工程の組み合わせにより表面粗さRa80~200nmの低粗度の積層フィルムに対しピール強度0.6~0.75kN/mが達成された。

デスミア・めっき工程

表2、3にデスミア・無電解銅めっき工程を示す。粗化条件は膨潤の温度でコントロール可能である。

 

表2、3にデスミア・無電解銅めっき工程を示す。粗化条件は膨潤の温度でコントロール可能である。

 

各工程の特長

●膨潤 DS-160
過マンガン酸エッチングでの粗化形状は膨潤の種類や条件によって決まる。DS-160は図2のような微細なアンカー形状が形成され従来品・他社品と比較して同じ粗化度でも密着が高いことが特長である(図3)。また濃度を従来品の50%に低減したことで大幅なコストダウンが可能となった。

図2 デスミア粗化後のイメージ

●膨潤 DS-160
過マンガン酸エッチングでの粗化形状は膨潤の種類や条件によって決まる。DS-160は図2のような微細なアンカー形状が形成され従来品・他社品と比較して同じ粗化度でも密着が高いことが特長である(図3)。また濃度を従来品の50%に低減したことで大幅なコストダウンが可能となった。

図2 デスミア粗化後のイメージ

図3 膨潤の種類によるピール強度の比較(低粗度積層フィルムA)

図3 膨潤の種類によるピール強度の比較(低粗度積層フィルムA)

コンディショナー PB-160M

コンディショナー工程ではコンディショニング成分が基材表面に吸着することで後のキャタライザー工程でのPd吸着を増強させる。この成分は基材とPdのバインダーの役割をするため、めっき密着に大きな影響を与える。従来のコンディショナーはイオン結合による表面吸着であるため密着は非常に弱いが新開発のPB-160Mでは樹脂基材の官能基と強力な化学結合を形成するため高い密着が得られる。このような化学結合は樹脂の官能基に依存するため積層フィルムの種類によっても密着が異なるが、PB-160Mは多くの樹脂に対して密着向上の効果がある。

図4 コンディショナーの吸着と結合の模式図

図5 膨潤の種類によるピール強度の比較(低粗度積層フィルムA)

●キャタライザー PB-330
プリント基板用の無電解銅めっきでは、通常Pd/Snコロイドのキャタライザーが用いられるが、SAPでは密着が重視されるため、密着に有利なアルカリタイプが用いられる。
表4にコンディショナーとキャタライザーの違いによるピール強度の比較を示す。従来品コンディショナーとPd/SnコロイドではRa=80nmの低粗度樹脂上ではまったく密着は得られないが、PB-160MとアルカリキャタライザーPB-330の組み合わせで0.65kN/mの高密着が達成された。
またPB-330の大きな特長はPd吸着能力が高いことであり他社品や従来品と比較して低いPd濃度でも高いPd吸着量が得られる(図6)。他社品のPd濃度200mg/Lと比較してPB-330は100mg/Lでより高いPd吸着が得られる。Pdの低濃度化により汲みだしによるPd金属のロスが軽減され大幅なコストダウンが期待できる。
<表4 コンディショナーとキャタライザーの種類とピール強度>
(低粗度積層フィルムC、Ra=80nm)



図6 ラジウム吸着量の比較(味の素ファインテクノ製ABF GX13)

●無電解銅めっきPB-506
一般的に平滑な基材への無電解銅めっきでは、めっき中に皮膜にブリスター(フクレ)が生じる。PB-506は添加剤の効果によりブリスター発生が抑制されており、非常に低粗度なSAP樹脂にも対応できる。

PB-506の特長
・ 薄付けタイプ:めっき厚0.5~1.0μm/15~30分
・ ロッシェル塩浴、浴温30℃
・ ブリスターレス
・ シアン、EDTAフリーで環境負荷を低減

コンディショナー工程ではコンディショニング成分が基材表面に吸着することで後のキャタライザー工程でのPd吸着を増強させる。この成分は基材とPdのバインダーの役割をするため、めっき密着に大きな影響を与える。従来のコンディショナーはイオン結合による表面吸着であるため密着は非常に弱いが新開発のPB-160Mでは樹脂基材の官能基と強力な化学結合を形成するため高い密着が得られる。このような化学結合は樹脂の官能基に依存するため積層フィルムの種類によっても密着が異なるが、PB-160Mは多くの樹脂に対して密着向上の効果がある。

図4 コンディショナーの吸着と結合の模式図

図5 膨潤の種類によるピール強度の比較(低粗度積層フィルムA)

●キャタライザー PB-330
プリント基板用の無電解銅めっきでは、通常Pd/Snコロイドのキャタライザーが用いられるが、SAPでは密着が重視されるため、密着に有利なアルカリタイプが用いられる。
表4にコンディショナーとキャタライザーの違いによるピール強度の比較を示す。従来品コンディショナーとPd/SnコロイドではRa=80nmの低粗度樹脂上ではまったく密着は得られないが、PB-160MとアルカリキャタライザーPB-330の組み合わせで0.65kN/mの高密着が達成された。
またPB-330の大きな特長はPd吸着能力が高いことであり他社品や従来品と比較して低いPd濃度でも高いPd吸着量が得られる(図6)。他社品のPd濃度200mg/Lと比較してPB-330は100mg/Lでより高いPd吸着が得られる。Pdの低濃度化により汲みだしによるPd金属のロスが軽減され大幅なコストダウンが期待できる。
<表4 コンディショナーとキャタライザーの種類とピール強度>
(低粗度積層フィルムC、Ra=80nm)



図6 ラジウム吸着量の比較(味の素ファインテクノ製ABF GX13)

●無電解銅めっきPB-506
一般的に平滑な基材への無電解銅めっきでは、めっき中に皮膜にブリスター(フクレ)が生じる。PB-506は添加剤の効果によりブリスター発生が抑制されており、非常に低粗度なSAP樹脂にも対応できる。

PB-506の特長
・ 薄付けタイプ:めっき厚0.5~1.0μm/15~30分
・ ロッシェル塩浴、浴温30℃
・ ブリスターレス
・ シアン、EDTAフリーで環境負荷を低減

加速耐熱性評価

FEEDはHAST試験においても0.5kN/mをクリアし、従来プロセスと比較して非常に高密着で、熱と水分による密着の低下も少ないことが確認された。

FEEDはHAST試験においても0.5kN/mをクリアし、従来プロセスと比較して非常に高密着で、熱と水分による密着の低下も少ないことが確認された。

おわりに

FEEDでは、新開発の膨潤・コンディショナー・キャタライザー・無電解銅めっきにより、従来は困難であった低粗度樹脂への高密着めっきならびに膨潤・Pd濃度の低下によるコストダウン・低環境負荷などが実現された。FEEDとフィリング銅めっきCU-BRITEVF IVとの組み合わせは、より微細で均一な回路形成に最適なめっきプロセスであるといえる。今後もより高性能・高品質なプロセスの開発に取り組んでいきたい。

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JCUテクニカルレポート 86号 2009年7月