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COF対応 硫酸銅めっき/Ni-Crシード層除去 プロセス

総合研究所 第1開発室
大野 晃宜 Akinobu OHNO

 

第2CSセンター
谷本 樹一 Juichi TANIMOTO

はじめに

LCDの高機能、薄型化に伴い、そのドライバーとして使用されるCOF(Chip on Film)では銅配線の高精細化が進んでおり、大型LCD用COFには、メタライズ2層FCCLが使用されている。現在、COFの更なる狭ピッチ化への要求から、銅配線の形成法が変化してきている。

現状、銅配線の形成はサブトラクティブ(サブトラ)法が主流であるが、エッチングファクター(E.F.)の問題から、狭ピッチ化には限界があり、セミアディティブ(セミアディ)法に移行しつつある。しかし更なる課題として、駆動用ICドライバーの実装性能を損なう、配線上部形状の丸みの問題が顕著化している。また、銅配線の形成後にNi-Crシード層が残留するため、これを除去しスペース間の絶縁性を確保する必要があるが、この残渣がサブトラ法に比べてセミアディ法は多い(スペース部の全面に残留)ため、その除去が難しくなる等、セミアディ法は、技術的な難点を持つ。(図1参照)

本稿では、このCOFの将来像(セミアディ法への変化とその難点)を見据えて、その問題を解決するべく開発を行った、『銅配線上部のフラット性に優れた硫酸銅めっき/CU-BRITE RFプロセス』及び、『銅配線の溶解を最小限に抑えNi-Crシード層を除去する/SEEDLONプロセス』について紹介する。

 

「CU-BRITE RFプロセスについて」

特長
 1) パターンめっき表面形状のフラット性に優れる。
 2) パターンの均膜性に優れる。
 3) 高電流密度作業(直流電源)にも対応できる。
 4) めっき皮膜の電着応力が低い。
 5) DFRや添加剤分解物などの有機不純物による悪影響を受けにくく、ピットの発生を抑制できる。

 フラット性
写真1に10A/dm2,L/S=10/10,めっき厚10μmにおける断面写真、写真2に15A/dm2,L/S=15/15,めっき厚12μmにおけるSEM観察写真を示す。試験浴には、CU-BRITE RF浴、当社従来浴を用いた。

写真1 断面写真(10A/dm2,L/S=10/10,めっき厚10μm)

写真2 SEM写真(15A/dm2,L/S=15/15,めっき厚12μm)

メカニズム(推定)
フラット化のメカニズム(推定)を図2に示す。流体摩擦により、中央部は液流が速く、両端部は遅い。そのため、添加剤が優先的に高電流部に吸着される。その結果、析出が抑制されるため、高低電流部の析出速度が等しくなり、フラットな断面が得られる。
横噴流(被めっき面に垂直に当てるような噴流)攪拌の使用、および不溶解性アノードの使用により、さらに容易にフラットな断面が得られる。

図2 フラット化のメカニズム(推定)

均膜性
表1にそれぞれのめっき法による疎密部の膜厚および断面形状を示す。陰極電流密度は10A/dm2とし、めっき膜厚は12μmとした。特殊めっき法の使用で、さらなる均膜性の向上が可能となる。

表1 疎密部におけるめっき膜厚および断面形状

機械物性
図3に陰極電流密度5A/dm2、めっき膜厚8μm時における引張り試験(JIS Z 2241に準ずる)結果を示す。特殊めっき法の使用で、さらなる延び率の向上が得られる。今後の狭ピッチ化に伴い、銅めっき皮膜物性の向上も必須となるはずである。

図3 フラット化のメカニズム(推定)

特長
 1) パターンめっき表面形状のフラット性に優れる。
 2) パターンの均膜性に優れる。
 3) 高電流密度作業(直流電源)にも対応できる。
 4) めっき皮膜の電着応力が低い。
 5) DFRや添加剤分解物などの有機不純物による悪影響を受けにくく、ピットの発生を抑制できる。

 フラット性
写真1に10A/dm2,L/S=10/10,めっき厚10μmにおける断面写真、写真2に15A/dm2,L/S=15/15,めっき厚12μmにおけるSEM観察写真を示す。試験浴には、CU-BRITE RF浴、当社従来浴を用いた。

写真1 断面写真(10A/dm2,L/S=10/10,めっき厚10μm)

写真2 SEM写真(15A/dm2,L/S=15/15,めっき厚12μm)

メカニズム(推定)
フラット化のメカニズム(推定)を図2に示す。流体摩擦により、中央部は液流が速く、両端部は遅い。そのため、添加剤が優先的に高電流部に吸着される。その結果、析出が抑制されるため、高低電流部の析出速度が等しくなり、フラットな断面が得られる。
横噴流(被めっき面に垂直に当てるような噴流)攪拌の使用、および不溶解性アノードの使用により、さらに容易にフラットな断面が得られる。

図2 フラット化のメカニズム(推定)

均膜性
表1にそれぞれのめっき法による疎密部の膜厚および断面形状を示す。陰極電流密度は10A/dm2とし、めっき膜厚は12μmとした。特殊めっき法の使用で、さらなる均膜性の向上が可能となる。

表1 疎密部におけるめっき膜厚および断面形状

機械物性
図3に陰極電流密度5A/dm2、めっき膜厚8μm時における引張り試験(JIS Z 2241に準ずる)結果を示す。特殊めっき法の使用で、さらなる延び率の向上が得られる。今後の狭ピッチ化に伴い、銅めっき皮膜物性の向上も必須となるはずである。

図3 フラット化のメカニズム(推定)

「SEEDLONプロセスについて」

特長
 1) 微細配線間に残留したNi-Cr(Cr含有率:5~20%)をその残渣状態に関わらず、すばやく除去できる。
 2) 銅配線の表面形状変化がほとんどない。
 3) 性能が安定しており、長期的に使用できる。
 4)  各成分の定量的な分析管理により安定稼動ができる。

Ni-Crシード層について
Ni-Crシード層のCr含有率は5~20%が一般的で、Cr含有率が高いほどポリイミドと銅層との密着性が強い等 機能面で優れるが、溶解性が悪くなる。この溶解特性は、Ni-Crシード層が不動態化し易い事に起因し、Cuとの溶解性に差があるため、銅配線の形成後に残留する。

含有成分について
前述の理由から、Ni-Crシード層の除去は困難であるが、SEEDLONは、溶解の主成分となる酸、酸化剤に最適なものを検討する事でこれを可能にしている。 一方、銅配線に対しては、その溶解を抑える事も重要な要求性能であり、一般的に硫黄、窒素系などの吸着性の高いインヒビター(腐食抑制剤)が利用されるが、その濃度管理は困難であり、また、後工程に影響(Snめっきでの異常析出等)する等の問題がある。しかしながらSEEDLONは強吸着性のインヒビターを使用しておらず、成分組成の検討で銅配線の溶解を抑制し、ノニオン系の界面活性剤により、銅配線のエッチング面を平滑にする事を可能としており、その様な問題が無い。またこの界面活性剤により、薬液の浸透性が向上し、銅配線間に残留したNi-Crシード層を素早く除去する事を可能にしている。

処理条件・管理方法
SEEDLONの処理条件を表2に示す。浴温は45℃で装置への影響が少なくタンク等の材質に特殊なものを使用する必要はない。
なお各成分の分析は手動でも可能であるが、本プロセス専用に開発した分析装置「AUTO PRO Cute SDL」により、自動での分析・管理を可能としている。

性能
写真3にセミアディ法でL/S=15/15μmの銅配線を形成した(銅めっきは従来浴)素材のマイクロスコープ写真を示す。本素材のNi-Crシード層は、Cr含有率:約20%、膜厚:約150Åであるが、銅配線形成後はスペース部の全面がグレー色でその残渣が確認される。本素材をSEEDLONで15秒処理すると、スペース部がポリイミドの橙色になり、Ni-Crシード層がほぼ除去されている事が分かる。そのため、45~60秒処理すればNi-Crシード層の完全な除去が可能である。
写真4に同素材のSEM写真を示す。SEEDLONで60秒処理しても、未処理品と比較して銅配線の表面状態に変化がない事が分かる。

写真3 マイクロスコープ写真 / シード層除去性評価

写真4 SEM写真 / 銅配線表面状態評価

特長
 1) 微細配線間に残留したNi-Cr(Cr含有率:5~20%)をその残渣状態に関わらず、すばやく除去できる。
 2) 銅配線の表面形状変化がほとんどない。
 3) 性能が安定しており、長期的に使用できる。
 4)  各成分の定量的な分析管理により安定稼動ができる。

Ni-Crシード層について
Ni-Crシード層のCr含有率は5~20%が一般的で、Cr含有率が高いほどポリイミドと銅層との密着性が強い等 機能面で優れるが、溶解性が悪くなる。この溶解特性は、Ni-Crシード層が不動態化し易い事に起因し、Cuとの溶解性に差があるため、銅配線の形成後に残留する。

含有成分について
前述の理由から、Ni-Crシード層の除去は困難であるが、SEEDLONは、溶解の主成分となる酸、酸化剤に最適なものを検討する事でこれを可能にしている。 一方、銅配線に対しては、その溶解を抑える事も重要な要求性能であり、一般的に硫黄、窒素系などの吸着性の高いインヒビター(腐食抑制剤)が利用されるが、その濃度管理は困難であり、また、後工程に影響(Snめっきでの異常析出等)する等の問題がある。しかしながらSEEDLONは強吸着性のインヒビターを使用しておらず、成分組成の検討で銅配線の溶解を抑制し、ノニオン系の界面活性剤により、銅配線のエッチング面を平滑にする事を可能としており、その様な問題が無い。またこの界面活性剤により、薬液の浸透性が向上し、銅配線間に残留したNi-Crシード層を素早く除去する事を可能にしている。

処理条件・管理方法
SEEDLONの処理条件を表2に示す。浴温は45℃で装置への影響が少なくタンク等の材質に特殊なものを使用する必要はない。
なお各成分の分析は手動でも可能であるが、本プロセス専用に開発した分析装置「AUTO PRO Cute SDL」により、自動での分析・管理を可能としている。

性能
写真3にセミアディ法でL/S=15/15μmの銅配線を形成した(銅めっきは従来浴)素材のマイクロスコープ写真を示す。本素材のNi-Crシード層は、Cr含有率:約20%、膜厚:約150Åであるが、銅配線形成後はスペース部の全面がグレー色でその残渣が確認される。本素材をSEEDLONで15秒処理すると、スペース部がポリイミドの橙色になり、Ni-Crシード層がほぼ除去されている事が分かる。そのため、45~60秒処理すればNi-Crシード層の完全な除去が可能である。
写真4に同素材のSEM写真を示す。SEEDLONで60秒処理しても、未処理品と比較して銅配線の表面状態に変化がない事が分かる。

写真3 マイクロスコープ写真 / シード層除去性評価

写真4 SEM写真 / 銅配線表面状態評価

おわりに

COF対応CU-BRITE RF及び、SEEDLONプロセスは、これらの優れた性能により、大手メーカー(日本・韓国・台湾)で使用されている。今後、さらなる高精細化に伴い、優れた性能を発揮できるよう日々研究を進めていきたい。

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JCUテクニカルレポート 85号 2009年1月