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低発泡性Sn, Sn-Agめっきプロセス JSOLDER UT-77HD,JSOLDER SE5

営業本部  薬品事業統括部

大阪支店 植村 智之  Tomoyuki UEMURA

 

総合研究所 開発統括部

電子技術開発部 沼口 智子  Satoko NUMAGUCHI / 佐藤 麻里  Mari SATO / 時尾 香苗  Kanae TOKIO

新規技術開発部 清水 悟 Satoru SHIMIZU

はじめに

当社では、SnおよびSn-Agめっきプロセスを代表する製品として、エバソルダUT-55シリーズおよびエバソルダSEシリーズがある。これらは耐ウィスカ性、均膜性に優れており安定性が高いことから、リードフレームやコネクタめっきなどに幅広く使用されている。しかし、高電流密度で使用する場合、添加剤に含む界面活性剤の影響で発泡量が多くなり、これにより以下の問題が発生する可能性がある。

 

①小口径部分に液が入り込みにくく、穴から気泡が抜けずピットやボイドの原因になる。

②気泡付着部分が外観不良や薄膜になる。

③2色めっき等の液面制御要求に対応できない。

 

これらの問題を解消するため開発に取り組み、新たに低発泡SnめっきプロセスJSOLDER UT-77HD、および低発泡Sn-AgめっきプロセスJSOLDER SE5を製品化したので紹介する。

 

 

 

 

 

JSOLDER UT-77HD (Snめっき)

JSOLDER UT-77HD (Snめっき)

特長

1)低発泡化による作業性の向上。

2)電解発泡が少なく、高い液面制御性をもつ。

3)使用電流密度範囲(特に高電流密度)が広い。

4)めっき厚の均一性が良い。

5)均一な半光沢外観が得られる。

6)後加工性に優れ、折り曲げ加工などでクラックが発生しにくい。

7)高いはんだ濡れ性とリフロー性。

8)高い耐ウィスカ性。

1)低発泡化による作業性の向上。

2)電解発泡が少なく、高い液面制御性をもつ。

3)使用電流密度範囲(特に高電流密度)が広い。

4)めっき厚の均一性が良い。

5)均一な半光沢外観が得られる。

6)後加工性に優れ、折り曲げ加工などでクラックが発生しにくい。

7)高いはんだ濡れ性とリフロー性。

8)高い耐ウィスカ性。

発泡性能

図1にJSOLDER UT-77HDの発泡性が確認できるめっき浴の写真を示す。JSOLDER UT-77HDは、撹拌やフィルターろ過時など機械的作用で発生する気泡について高い消泡性をもつ。スターラー撹拌直後の浴では、従来品と比較して液面で多く破泡する様子が見て取れる。さらに2分経過後では泡量はほとんどない。

めっき時の発泡性では、5Aハルセル試験で電解時の発泡量がJSOLDER UT-77HDは少量であり、高電流密度部でわずかに発泡する程度であることが見て取れる。したがって、液面に気泡が滞留して部品に付着する心配がほとんどない。

また、発泡を抑制できたことにより、液面制御性が向上している(図2)。JSOLDER UT-77HDでは、広範囲の電流密度にわたって、液面からのめっき析出高さを1mm以下に抑えることが可能である。これにより、コネクタピンの上下で違う種類の金属をめっきする2色めっき(セパレートめっき)への適用性も高い。

 

 

 

図1 JSOLDER UT-77HDの発泡性能

 

 

 

図2 JSOLDER UT-77HDの発泡性能

図1にJSOLDER UT-77HDの発泡性が確認できるめっき浴の写真を示す。JSOLDER UT-77HDは、撹拌やフィルターろ過時など機械的作用で発生する気泡について高い消泡性をもつ。スターラー撹拌直後の浴では、従来品と比較して液面で多く破泡する様子が見て取れる。さらに2分経過後では泡量はほとんどない。

めっき時の発泡性では、5Aハルセル試験で電解時の発泡量がJSOLDER UT-77HDは少量であり、高電流密度部でわずかに発泡する程度であることが見て取れる。したがって、液面に気泡が滞留して部品に付着する心配がほとんどない。

また、発泡を抑制できたことにより、液面制御性が向上している(図2)。JSOLDER UT-77HDでは、広範囲の電流密度にわたって、液面からのめっき析出高さを1mm以下に抑えることが可能である。これにより、コネクタピンの上下で違う種類の金属をめっきする2色めっき(セパレートめっき)への適用性も高い。

 

 

 

図1 JSOLDER UT-77HDの発泡性能

 

 

 

図2 JSOLDER UT-77HDの発泡性能

陰極電流密度と電流効率

図3にJSOLDER UT-77HDでめっき時の陰極電流効率を示す。広範囲で従来品より高い電流効率となり、陰極電流密度が高いほど効率改善が大きい。また、高い電流密度でめっきした場合も表面形状は変わらず、同様のめっき外観が得られる(図4)。

この他、SnめっきプロセスJSOLDER UT-77HDはリフロー性やはんだ濡れ性、耐ウィスカ性についても従来品と同等の高い性能をもつ。

 

 

 

図3 JSOLDER UT-77HDの陰極電流効率

 

 

 

図4 JSOLDER UT-77HDの表面形状(膜厚10µm時)

 

 

 

 

 

図3にJSOLDER UT-77HDでめっき時の陰極電流効率を示す。広範囲で従来品より高い電流効率となり、陰極電流密度が高いほど効率改善が大きい。また、高い電流密度でめっきした場合も表面形状は変わらず、同様のめっき外観が得られる(図4)。

この他、SnめっきプロセスJSOLDER UT-77HDはリフロー性やはんだ濡れ性、耐ウィスカ性についても従来品と同等の高い性能をもつ。

 

 

 

図3 JSOLDER UT-77HDの陰極電流効率

 

 

 

図4 JSOLDER UT-77HDの表面形状(膜厚10µm時)

 

 

 

 

 

JSOLDER SE5 (Sn-Agめっき)

JSOLDER SE5 (Sn-Agめっき)

特長

1)低発泡による作業性の向上。

2)安定して皮膜へAgが共析する。

3)使用電流密度範囲(特に高電流密度)が広い。

4)めっき厚の均一性が良い。

5)後加工性に優れ、折り曲げ加工などでクラックが発生しにくい。

6)高いはんだ濡れ性をもつ。

7)高い耐ウィスカ性をもつ。

1)低発泡による作業性の向上。

2)安定して皮膜へAgが共析する。

3)使用電流密度範囲(特に高電流密度)が広い。

4)めっき厚の均一性が良い。

5)後加工性に優れ、折り曲げ加工などでクラックが発生しにくい。

6)高いはんだ濡れ性をもつ。

7)高い耐ウィスカ性をもつ。

発泡性能

JSOLDER SE5の発泡性が確認できるめっき浴を図5に示す。JSOLDER SE5は、消泡作用に優れており従来品と比較して、スターラー撹拌後から2分経過時点の気泡の残量は少ない。

2Aハルセル試験後で確認しためっき時の発泡量でも、従来品と比較して発泡は少量であることがわかる。

 

 

 

図5 JSOLDER SE5の発泡性能

JSOLDER SE5の発泡性が確認できるめっき浴を図5に示す。JSOLDER SE5は、消泡作用に優れており従来品と比較して、スターラー撹拌後から2分経過時点の気泡の残量は少ない。

2Aハルセル試験後で確認しためっき時の発泡量でも、従来品と比較して発泡は少量であることがわかる。

 

 

 

図5 JSOLDER SE5の発泡性能

陰極電流密度と電流効率

図6にJSOLDER SE5でめっき時の陰極電流効率を示す。JSOLDER SE5は、広範囲の陰極電流密度で従来品よりも高い電流効率が得られ、特に従来品で使用頻度の多い10 A/d㎡で13%の効率改善に成功した。

また、従来品よりも低い浴中Ag濃度でも2~3%のAgが安定して皮膜に共析する。さらに、広範囲にわたり平滑な表面形状の皮膜が得られる(図7)。

この他、Sn-AgめっきプロセスJSOLDER SE5ははんだ濡れ性や耐ウィスカ性でも従来品と同等以上の高い性能をもつ。

 

 

 

図6 JSOLDER SE5の陰極電流効率

 

 

 

図7 JSOLDER SE5の表面形状(膜厚10µm時)

図6にJSOLDER SE5でめっき時の陰極電流効率を示す。JSOLDER SE5は、広範囲の陰極電流密度で従来品よりも高い電流効率が得られ、特に従来品で使用頻度の多い10 A/d㎡で13%の効率改善に成功した。

また、従来品よりも低い浴中Ag濃度でも2~3%のAgが安定して皮膜に共析する。さらに、広範囲にわたり平滑な表面形状の皮膜が得られる(図7)。

この他、Sn-AgめっきプロセスJSOLDER SE5ははんだ濡れ性や耐ウィスカ性でも従来品と同等以上の高い性能をもつ。

 

 

 

図6 JSOLDER SE5の陰極電流効率

 

 

 

図7 JSOLDER SE5の表面形状(膜厚10µm時)

おわりに

今回紹介したSnめっきプロセスJSOLDER UT-77HDおよびSn-AgめっきプロセスJSOLDER SE5では、従来のめっき加工で度々問題となっていた発泡を低減することで、作業性の改善やめっき品質の向上を実現できるものと考える。今後は、コネクタやリードフレームをはじめ様々な分野に対し、SnやSn-Agめっきの市場展開に注力していきたい。

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JCUテクニカルレポート 104号 2018年8月