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クロム酸エッチング代替プロセス 電解硫酸エッチングの検討

総合研究所 開発統括部

基幹技術開発部  山本 泰望  Taibou YAMAMOTO / 長田 創  So OSADA / 泉谷 美代子 Miyoko IZUMITANI

新規技術開発部  橋本 康男  Yasuo HASHIMOTO

はじめに

ABS樹脂は、汎用性が高く樹脂へのめっき素材において90%を占める。ABS樹脂の表面改質は、めっき皮膜と樹脂との密着をとるためにクロム酸によるエッチングが必須である。しかし、樹脂めっきに欠かせない6価クロムはヨーロッパを中心とした環境保護規制の対象となっている。本稿では、開発を行っている6価クロムを使用しない環境調和型の新規エッチング技術を紹介する。

電解硫酸とは

硫酸溶液(H2SO4)を電気分解すると硫酸イオン(SO42-)または硫酸水素イオン(HSO4-)が電子を放出して過硫酸(H2S2O8)が生成される。発生した過硫酸はきわめて強い酸化力を有している。かつ、安定稼働が可能で、成分の濃度管理が容易なため、レジストの剥離といった半導体業界においてすでに実用化されている技術である。このように電解した硫酸溶液を以下、電解硫酸と称する。

硫酸溶液(H2SO4)を電気分解すると硫酸イオン(SO42-)または硫酸水素イオン(HSO4-)が電子を放出して過硫酸(H2S2O8)が生成される。発生した過硫酸はきわめて強い酸化力を有している。かつ、安定稼働が可能で、成分の濃度管理が容易なため、レジストの剥離といった半導体業界においてすでに実用化されている技術である。このように電解した硫酸溶液を以下、電解硫酸と称する。

性能比較

表1に各種めっき工程を示した。変更となるのはエッチング工程中の使用溶液であり、従来と同じ工程数で処理が可能である。なお、プレディップ以降はクロムめっきまで同一工程で行った。比較対象として、同濃度の硫酸溶液においても同様に試験を行った。

 

表1 各種めっき工程

 

表1に各種めっき工程を示した。変更となるのはエッチング工程中の使用溶液であり、従来と同じ工程数で処理が可能である。なお、プレディップ以降はクロムめっきまで同一工程で行った。比較対象として、同濃度の硫酸溶液においても同様に試験を行った。

 

表1 各種めっき工程

 

検討結果

無電解めっき後の外観を比較すると、電解硫酸エッチングはクロム酸エッチングに対してやや光沢のある仕上がりであった。また、硫酸処理は鏡面外観であり、ほとんど粗化されていないことがわかった。

図1には、クロムめっき後の外観写真を示した。硫酸処理は電気めっき中に密着不良による剥離が発生したためクロムめっきは行っていない。クロム酸エッチングおよび電解硫酸エッチングは、ともに良好な外観が得られていた。ヒートショック試験(-30℃/70℃ 40サイクル)後の外観においてもふくれやクラックなどは確認できず、ABS樹脂とめっき皮膜との間で、高い密着性が得られていることがわかった。

 

 

図1 クロムめっき後の外観写真

無電解めっき後の外観を比較すると、電解硫酸エッチングはクロム酸エッチングに対してやや光沢のある仕上がりであった。また、硫酸処理は鏡面外観であり、ほとんど粗化されていないことがわかった。

図1には、クロムめっき後の外観写真を示した。硫酸処理は電気めっき中に密着不良による剥離が発生したためクロムめっきは行っていない。クロム酸エッチングおよび電解硫酸エッチングは、ともに良好な外観が得られていた。ヒートショック試験(-30℃/70℃ 40サイクル)後の外観においてもふくれやクラックなどは確認できず、ABS樹脂とめっき皮膜との間で、高い密着性が得られていることがわかった。

 

 

図1 クロムめっき後の外観写真

密着メカニズム

図2に各種エッチング後の表面SEM像を示した。クロム酸エッチングとその他のエッチングでは、表面粗さには大きな差が見られる。電解硫酸エッチングも孔は、確認できるがそこまで多くはない。しかしながら、密着強度に差が見られないことから、電解硫酸エッチングはアンカー効果以外の力で密着していることが示唆される。今後も密着効果の検証を継続していく予定である。

 

 

図2 各種エッチング後の表面SEM像

図2に各種エッチング後の表面SEM像を示した。クロム酸エッチングとその他のエッチングでは、表面粗さには大きな差が見られる。電解硫酸エッチングも孔は、確認できるがそこまで多くはない。しかしながら、密着強度に差が見られないことから、電解硫酸エッチングはアンカー効果以外の力で密着していることが示唆される。今後も密着効果の検証を継続していく予定である。

 

 

図2 各種エッチング後の表面SEM像

おわりに

クロム酸エッチング代替技術として、電解硫酸によるエッチング法への適用の可能性が示唆された。電解硫酸エッチングは環境規制保護対象を使用しない環境調和型の技術である。工業化に向けて引き続き検討して行く予定である。

 

※本内容は第136回表面技術講演大会にて発表している。

※栗田工業株式会社との共同研究である。

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JCUテクニカルレポート 103号 2018年1月